イケメンSPに守られることになったんですが。


ピザを詰め込みすぎたせいかな。


なんか、胸が苦しい。



「もったいないことしますね、その男。
こんなに才能のある人を、ほったらかしにするなんて」


「やめてくださいよ……
それを言うなら、亮司さんのお相手だって」


「いやいや俺はほら……頭が、ちょっと、あれだから」



亮司さんは笑いながら、人差し指で自分のこめかみを叩いた。


……そっか。


二重人格……だから。


言わないだけで、きっと、亮司さんと元婚約者さんには色々な葛藤とか苦労があったんだ。


元婚約者さんって、どんな人だったんだろう。


きっと、素敵な人だったんだろうな。


想像しようとすると、途端に胸がまた苦しくなってしまった。


……なんだ、これ……



「……今は、好きな人とかはいないんですか?

あ、これはセクハラじゃありませんよ。

ただのおじさんの興味だと思ってください」



亮司さんは自分をオッサンだと思っているらしい。


さっきの加齢臭発言もだけど、ちょっとおかしい。


私はそれでまた、笑うことができた。


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