キスの意味を知った日

『――ハァハァ――アッ』


どんどん大きくなっていく声。

耳元で響いて、鳥肌が立つ。


「山本……さん?」

『ハァハァ――アァッーーイくッーールカッ』


その声を聞いた瞬間、電話を切った。

ガチャンっと勢いよく置いたから、横にいた美咲が目を丸くした。


何……。

今の……。

ルカって……なんで私の名前。


カタカタと手が震えた。

今のはなんなの!?


「瑠香どしたの? 顔真っ青だよ?」

「今……」

「山本さんって、どこの山本さんだったの? ――瑠香?」


きっとカナリ動揺していたんだろう

不思議そうな顔をして、美咲が顔を覗き込んできた。


何か言いたいけど、思考が追い付かない。

ワナワナと震える唇をギュッと噛む。

すると。
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