キスの意味を知った日
「ねぇ美咲」
「なあに?」
「美咲、本当は私に何か聞いて欲しい事があったんじゃないの?」
男達が思い出話で盛り上がっている時、横に座っている美咲に話しかけた。
飲みに誘ってきた時いつもと少し様子が違ったから、きっと何か相談事があるんだと思う。
「あ、バレた? 実は相談があるの」
「やっぱり」
「思い出話始まっちゃったし、私達邪魔だよね」
「じゃぁ抜けようか。私その前にお手洗い行ってくる」
予想通り。
まぁ4年も付き合っていれば、だいたい何考えているかぐらい分かる。
それなら、こんなよく分からない集まりに混ざらなければ良かったのに、と思ったけど口には出さない。
出会いがないと嘆く美咲にとって、出会いの場は貴重で一つも無駄にしたくないんだろう。
それでも、抜ける事に反対しない所を見ると、目当ての男はいなかったらしい。