キスの意味を知った日
「慣れてんの? こういうの?」
「お互いにね」
何歳だったけ? この人。
確か、美咲が高1の時に高3だって言ってたな。
って事は28歳か。
私の淡々とした話し方に、最初は眉を寄せていた純だったけど。
なんだか、どんどん面白いモノを見る様な表情に変わっていった。
その姿を見て分かったのは、この人は生粋のSだという事。
という事は、私のこの態度は逆に純のSな部分を刺激しているのではないか。
失敗したな。
「瑠香ちゃんって、男に全く興味ないんだね。でも、それが逆にもえる」
「――」
「意地でも惚れさせたくなる」
そう言って、片方の唇をクイッと上げた彼はゆっくりと私の唇にそれを重ねた。
お酒と煙草の香りが口内に広がる。
それでも、別に驚かない。
キスぐらい、どうってことない。
こんなの挨拶の延長にすぎないから。