キスの意味を知った日

あどけない寝顔を見て、思わず頬を緩める。

なんだか本当に子供みたい。

まぁ、かなり大きいけど。

あと、超ヘビースモーカーだけど。

そんな事を思いながら、じーっと時間を忘れて魅入っていると、不意にピクッと瞼が動いた。


やば……。

起きるっ。


こんな所で寝顔観察していたなんて知られたら恥だ!

そう思って、急いで立ち上がろうとした時、勢い余ってガンっと後ろの机に腰をぶつけた。

静かな部屋に響く、大きな音。


ばか。

私。


案の定、騒音に驚いて軽く飛び起きた櫻井さん。

パッチリ目を開けたと思ったら、腰を抑えて立つ私を訝し気に目を細めて見てきた。


「何やってんだ。お前」

「おはようございます」


質問は無視して、とりあえず挨拶をした。
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