キスの意味を知った日
◇
「最近どうよ、瑠香」
「何が~?」
「何がって恋よ! 恋。私達もあと4年もすれば売れ残りよ?」
売れ残りって……。
なんだかバーゲンみたいだな。と思って、苦笑いする。
そんな私の表情を目ざとく見つけて、睨みつけてくる梨恵。
その視線から逃げるように、慌ててサンドイッチに口に運んだ。
お昼休憩中、また出張先で一緒になった梨恵とランチをしている。
相変わらず仕事は忙しいみたいで、出張続きで疲れが溜まっているみたい。
それでも、私と同じで何だかんだ言いながら仕事人間の梨恵は、文句を言いつつも仕事に関しては真っ直ぐだ。
そういう所、本当に尊敬する。
「あ~結婚したい、結婚したい、結婚したい」
それでも、口を開ければ梨恵はこの調子だ。
久しぶりに会う友人と話す話題、NO,1は決まって恋の話だと思う。
まぁ、私達の年になれば周りが結婚していって、余り者が浮いてくる年頃。
平たく言えば、みんな焦っている。
30を過ぎれば女の価値は下がると周りから散々言われ、それが目前になっている今、彼氏すらいない現状に危機感を覚えている。
それなのに、打破するものが一つも無くて八歩塞がりの状態だ。