キスの意味を知った日
第2章
嫉妬
「おい。そろそろ切り上げろ」
「あと15分待ってください」
カタカタとパソコンと睨めっこする私を見て、小さく溜息を吐いた櫻井さん。
そして、いつもの所にいる。と言ってフロアを出て行った。
その姿を一瞥して、再びパソコンにかじりつく。
今日も変わらない、私の日常。
――…あの出張から、もう一ヶ月が過ぎた。
結局あの日、泣き疲れた私はそのまま眠ってしまったらしい。
朝起きると、綺麗にベットに寝かされていて。
テーブルを見ると置き手紙があった。
『起きたら目冷やせよ』
達筆でそう書かれた紙を見て、笑みが零れた。
と、同時に恥ずかしくて穴があったら入りたい気持ちになった。