キスの意味を知った日
気持ち
「恋よ。恋」
「――恋?」
「恋に決まってる」
「恋……」
「そう恋。恋よ恋――こ」
「あーっ! 恋、恋、うるさい!!」
ランチで賑う社員食堂に私の声が響く。
そんな私を見て、ケタケタと美咲は笑った。
それでも、どこか嬉しそうにパスタを口に運んで頭を抱える私を見つめた。
「も~イライラしちゃダメだって。楽しまなきゃ」
「楽しめるか!」
バンっとテーブルを叩いて、そのまま突っ伏す。
そんな私を見て、美咲は更に可笑しそうに笑った。
――結局、土日を挟んでも週末のイライラが治まる事は無かった。
週を開けた月曜日に久しぶりに美咲とランチをしていると、そのイライラの真相を問われて渋々話し出した。
もちろん、櫻井さんの名前などは伏せたけどね。