キスの意味を知った日

「でも、瑠香と恋の話ができて嬉しいなぁ」


そう言って、優しく微笑んだ美咲の表情を見て目が点になる。

ポカンと口を開いたまま箸を止めた私を見て、美咲は呆れたように微笑んだ。


「瑠香、彼氏作る事に拒絶反応おこしてたから」


拒絶反応。

思わず、箸を下ろす。


「何があったかは聞かないけど、ふっきれたみたいで良かったよ」


そう言って、ニッコリ笑う美咲を見て胸が熱くなった。

何も知らないフリしてたけど、本当は美咲には分かってたんだ。

私が頑なに彼氏を作らない事も。

恋愛に対して、酷く拒否反応を起こしていた事も。


それでも、何も聞かずに見守ってくれてたんだと思うと、目頭が熱くなる。

やっぱり、美咲には敵わないな。
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