キスの意味を知った日


「あの~……」


エレベーターの中で、遠慮がちに突然声を出した日向。

3人だけのエレベーターの中で、1人だけ落ち着きなくモジモジしている。


「なあに?」

「あの……もしよかったら、この後、ご飯でも食べに行きませんか?」

「あ~うん、いいよ。私も夜ご飯まだだし」

「本当ですか!?」


そう言うと、ぱぁっと顔を輝かせた日向は、横に立っている櫻井さんの顔を見る。

そして、顔を赤く染めて今にも飛び跳ねそうな勢いで声を上げた。


「櫻井さんもどうです!?」



――あ。

私、ダシにされた。
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