キスの意味を知った日






「「かんぱーい」」


その声を皮切りに、一斉にグラスが持ち上がる。

広い宴会会場に、浴衣を着た社員がお膳を前に座っている。

何度かいろんなチームの人達と飲んだ事はあるけど、こんな大人数は初めてだ。


チラリと上座を見ると、部長の横に櫻井さんが座っていた。

妙に浴衣が似合っている。

まぁ、元々スタイルもいいし、顔も整っているし、何でも似合うんだろう。


言われたいセリフNO,1。

『何着ても似合うね』


内心羨ましい様な、妬ましい様な思いだった。

そんな事を思いながら、グビグビとビールを喉に流し込んでいく。

昼間に美咲と日向と一緒に、温泉街を食べ歩きしたにも関わらず、目の前に置かれた美味しそうな料理を前に、お酒が進んだ。


こうなったら、楽しまなきゃ損だ。

思いっきり飲んでやる。
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