キスの意味を知った日
「本当に医者なんですか」
「本当だって~。ちゃんと医師免許も持ってるし。今日は学会の帰り~」
尚も疑う私をケラケラと笑う純さん。
前に居酒屋で会った時と違って、スーツを着ているからか少し印象が違う。
おまけに学会とか聞くと、更にイメージが変わってくる。
一見、フラフラしてる人に見える純さん。
こんな固い仕事しているとは思わなかった。
「まぁ。あの病院は俺の父親がやってる病院だけど――」
「だけど?」
「跡取りは兄貴」
そう言って、意地悪そうに笑ってコーヒーを飲む純さん。
その言葉に、苦虫を噛み潰した気持ちになる。
――ハメられた。
ご子息だから、その後院長か何かになった時、お世話になると思い渋々だがお茶に付き合っているのに、跡取りは兄貴かい。
だったら、最早この人に付き合う理由はない。
私の初めの魂胆も全てお見通しで、その上でハメてきたんだ。
やっぱり、くせ者だ。
一気に居心地が悪くなって、小さく溜息をついた。
ご子息だから、いずれは院長になるのかと思って邪険にしなかったのに。
あからさまにテンションの落ちた私を見て、ケラケラ笑った純さん。
そして、じっと私を見つめて口を開いた。
「連絡待ってたのに」
「すいません。仕事が忙しかったので」
「あ、そうだ。駆から伝言もらった?」
「……はい」
突然出てきた櫻井さんの名前に、体がピクッと反応した。
だけど、それを悟られまいと平静を装ってコーヒーに口をつける。
「本当だって~。ちゃんと医師免許も持ってるし。今日は学会の帰り~」
尚も疑う私をケラケラと笑う純さん。
前に居酒屋で会った時と違って、スーツを着ているからか少し印象が違う。
おまけに学会とか聞くと、更にイメージが変わってくる。
一見、フラフラしてる人に見える純さん。
こんな固い仕事しているとは思わなかった。
「まぁ。あの病院は俺の父親がやってる病院だけど――」
「だけど?」
「跡取りは兄貴」
そう言って、意地悪そうに笑ってコーヒーを飲む純さん。
その言葉に、苦虫を噛み潰した気持ちになる。
――ハメられた。
ご子息だから、その後院長か何かになった時、お世話になると思い渋々だがお茶に付き合っているのに、跡取りは兄貴かい。
だったら、最早この人に付き合う理由はない。
私の初めの魂胆も全てお見通しで、その上でハメてきたんだ。
やっぱり、くせ者だ。
一気に居心地が悪くなって、小さく溜息をついた。
ご子息だから、いずれは院長になるのかと思って邪険にしなかったのに。
あからさまにテンションの落ちた私を見て、ケラケラ笑った純さん。
そして、じっと私を見つめて口を開いた。
「連絡待ってたのに」
「すいません。仕事が忙しかったので」
「あ、そうだ。駆から伝言もらった?」
「……はい」
突然出てきた櫻井さんの名前に、体がピクッと反応した。
だけど、それを悟られまいと平静を装ってコーヒーに口をつける。