キスの意味を知った日

「男は別にそんな事気にしないけどさ、女の人は面白くないじゃん? そういうの。付き合いだしたら、尚更。全てを自分に見せてほしいって」

「――」

「最初はミステリアスで良いとか言って騒ぐクセに、しばらく経つとヒステリーを起こす。何か嘘をついているんじゃないかと疑いだす。自分が信用されていないと勘違いしだす」

「――そうなのかも……しれません」


純さんの真っ直ぐな言葉に、下を向く。

実際私も、心の隅でその中にどうして入れてくれないのかと思っていた。

信用されてないのかな、と不満に思った。

寂しく、思った。

そう思った私は、初めから彼の前では女だったのかもしれない。


「それで、アイツが社会人になって初めて付き合ったのが、3つ年上の女。相当のキャリアウーマンだった」


櫻井さんの元カノの話なんて本当は聞きたくないけど、グッと拳を握って話を聞いた。

確か、聞いた話では最初の勤務先は関西支社だと聞いた。

じゃぁ、相手はそこで出会った人?
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