キスの意味を知った日

「櫻井さんに！？　何を！？」

「松本の家に行ってやってくれって」

「――」

「だから少し早く仕事上がっていい。って言われたの」


そう言って、ニタニタと笑う美咲。

きっと、カナリ大胆な勘違いをしているだろう。


「どうしたんですか？　って聞いたら、電話が通じないから、大丈夫か確認してきてほしいって――瑠香電話でなかったの？」


そう言われて、仕事用の携帯を開くと確かに櫻井さんから着信が何件か入っていた。

爆睡していたから気が付かなかったんだろう。


「入ってた。着信」

「やっぱり。どうせ寝てると思ったよ」


そう言って、美咲は呆れたように笑った。