キスの意味を知った日




◇◇◇



久しぶりの会社は、なんだか嬉しかった。

この2日間は体を休める事に集中したため、風邪もすっかり治った。


出張も含め、4日もデスクにつかなかった。

きっと、仕事が山のように溜まっているだろう。

そう考えると、気が気じゃなかったから今日はカナリ早めに出社した。


「おはようございます」


きっとこんな早い時間に出社してる人なんていないだろうけど、いつものクセで挨拶してフロアに入る。

案の定、フロアは電気も点いておらず、シンとしている。


誰もいないフロアをグルリと見渡す。

4日来なかっただけで、なんだかここに来るのがすごい久しぶりの様な気がする。

でも、どこか落ち着く。

ここが私の居場所なんだって思える。


デスクに着くと、案の定書類がどっさりと置かれていた。

でも何だか少し嬉しい。

私を必要としてくれている人が、ここにはいる。

よし。と気合を入れて、取りかかろうとした、その時――。


「おはよ」


後ろの方で突然声がした。
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