俺様orクール?幼なじみのお姫様♥
「………っ」
姫が顔を赤くしている理由。
翼とのキスシーンってことか……。
「初めてのキスなのに、舞台の上でしかも相手が翼なんて最悪だよねっ」
緊張の渦にのまれないように、笑顔を見せる姫は必死で。
何も言わない俺に、「早く練習しよっ」と台本を差し出してきた。
ページをめくる手が、すごく重く感じる。
集中なんてできるはずないのに…
「せめてもの慰めに、僕の口づけを受け取ってほしい」
「また、棒読みっ」と小さく笑って、目を閉じる。
姫に他の男がキスするなんて考えるだけで、俺の心がどれだけ真っ黒になるかわかってる?
何も知らないから、そんな顔ができるんだ。
無防備に顔を赤くしたその表情。
「好きですー…、姫」