俺様orクール?幼なじみのお姫様♥
金属の重いドアに手をかけようしたら、後ろからその手を掴まれた。
振り返る前に、背中から引き寄せられるようにぎゅっと抱きしめられる。
「……っ」
「泣いてるのに無理しなくていいよ」
優しく包み込むような声。
あたしの肩に顔を傾けられて、髪が耳や頰ををくすぐってくる。
顔なんか見なくてもわかるよ……
「咲夜、部活行ってなかったの?」
「姫のこと、待ってたんだ。今日ずっと元気なかったから」
「…なんでわかるの。やっぱりエスパー」
笑ったはずだったのに、なぜか涙がこぼれ落ちる。
一言も言ってないもん…。
普通にしてたつもりだったし。
「ちがうよ」
クスリと笑った吐息が鮮明に聞こえた。
「それは…姫が好きだからだよ」