俺様orクール?幼なじみのお姫様♥


あたし…

この大きなツリーを見たことがある。


その日も雪が積もっていて、今日と同じように明かりに照らされていた。


記憶の奥底に浮かび上がる景色。


その木の下で泣いている、幼い自分の姿。



「…………っ」



この木の下、

花壇の塀で少し高くなっている場所。


あたしはここに座っていた…


+







+


10年前のその日は翼と咲夜と咲夜のお母さんと出かけていた。


その途中にも降り始めた雪。


初めて見る雪にはしゃいだあたしは通りすがりのこの公園に1人で入ってしまって。


大きなツリーをずっと眺めていたんだ。


けれどもすぐに、翼も咲夜もいないことに気がついて怖くなった。


どこにいるかわからない。


ただ降りしきる雪が冷たくて…



「つばさ…っ、さくや…!!」



一人ぼっちで泣いていた。


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