俺様orクール?幼なじみのお姫様♥



「なんでもねえよ」



ただ、触れたくなっただけ。


誰よりも


傍にいたかっただけ…………




姫と咲夜が両思いなら、その幸せを願うって決めたのに。


姫の笑顔だけは守るって誓ったのに……


どんなに遠ざけても苦しい。


理性で抑えられない、本能が姫を求めてしまってる。



両親も家にいない、兄弟もいない。


1人ぼっちの記憶を、いつも幸せで満たしてくれた人。


俺が何度、その笑顔に救われてきたと思う……?


生まれたときからずっと隣にいるのに、それでも壁は越えられない。


"幼なじみ"ってなんなんだよ。


誰より傍にいて、手に入らない関係。


愛しいというこの気持ちが、3人で過ごした時間さえ奪っていく。



なぁ。



俺のお姫様は


おまえだけなんだよ…………



「姫……」



今すぐ触れて、抱きしめて、俺だけのものにしたいのに……。


「………っ」


細い指に触れるギリギリで、手を下ろした。



「悪い、ちょっと具合悪いから寝かせて」



その手を握ることさえ叶わない────。




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