俺様orクール?幼なじみのお姫様♥
短い廊下の先にある、翼の部屋。
すでにドアが開いた状態の部屋から、後ろ姿が見える。
「姫…っ」
名前を呼んだ声は、確かに聞こえていたはず。
それなのに姫は振り返ろうとはしない。
「咲夜…………」
涙交じりの声だけが、俺に応えた。
肝心の翼は辛そうな表情を浮かべたまま眠っている。
この時間に何があったかはわからないけど、姫は泣いている。
後ろからそっと肩に触れると、怯えたように小さく跳ねた。
「どうしたの?」
均衡を破る言葉を投げかけた。
「あたし………っ」
それだけで言葉をつまらせて、ただただ泣きじゃくる。
少しでも安心させたくて、抱きしめたんだ。