俺様orクール?幼なじみのお姫様♥


翼は無言のまま、16年過ごしてきた街の名前が書かれた駅の看板を眺めている。


背筋を伸ばして、真っ直ぐ前を見据える、凛とした姿。


時折ホームを吹き抜ける風が翼の黒い髪を揺らす。


その姿は一回りも二回りも大きく見えて………


ほんとに行っちゃうんだな……


その実感が涙を誘ってきた。



「だから、泣くなって言ってんの」



ぐにっとほっぺたをつままれた。


ちょ、ちょっとっ!


「いひゃい!やめひぇよー!」


「泣いてるおまえが悪い」


「たひゅけてさくや〜!」


「今日くらいは好きにさせてあげたら?」



そ、それとこれとは別問題でしょ!



「お、今日はサービスいいじゃん」



意地悪に笑う翼を見ても、やっぱり涙がこぼれそうになる。


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