俺様orクール?幼なじみのお姫様♥
「…っ!」
ムッとしてそっぽを向くと、「怒んなよ」とため息をつかれる。
怒るに決まってるじゃん…。
けれども、何も知らなかったあたしに、翼の次の言葉はすごく重く感じられた。
「うちは親が共働きなんだよ。
母さんも忙しそうだし、迷惑かけられないだろ?」
もしかして、あたし、すごく無神経なこと言って……
「…ごめ「ま、もう慣れたから平気だけどな」
遮られた言葉はきっと、暗くさせないようにと翼の気づかい。
でもそうやって笑う翼の横顔は、寂しそうに見えたんだ…。
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。
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もう何年も前のことなのに、今でも鮮明に覚えている。
「………」
あたしはもう一度、スマホのレシピの画面に目を落とした。
…やっぱり、買うなんてダメだ。
時計を見ると、午後8時。
近くのスーパーがまだ空いている時間だということにホッとする。
簡単なものでいい。
明日……
ちゃんと作ろう……!!
小さくガッツポーズをして、気合いを入れた。