俺様orクール?幼なじみのお姫様♥
それはもう一つのくじの箱のある方向。
おそらく王子様役が決まったんだろう。
みんなの視線も声も独り占めする、その人物は
「王子はなんとなんとー、九条翼君!なんというはまり役なのでしょう!」
「まじかよ……」
めんどくさそうに色のついた棒を見つめている。
…翼っ!!!
「いいなーっ!」
「ずるーいっ!あたしも白雪姫やりたいーっ!」
立ち上がって前に出るその間だけでも、アイドル並の黄色い声を集めている。
見かけは…王子様だもんな。
黒板の前に来たときの翼は、いつもの勝気な笑みを浮かべていた。
「よろしくな、白雪姫」
ニヤリと笑って、差し出された手を握る。
「良かったわね!有栖さん!あなたみんなにうらやましがられてるわよ~」
「あぁ…はい」
うっとりとした女子実行委員の言葉に、マヌケな声が出てしまった。