俺様orクール?幼なじみのお姫様♥


それはもう一つのくじの箱のある方向。


おそらく王子様役が決まったんだろう。


みんなの視線も声も独り占めする、その人物は



「王子はなんとなんとー、九条翼君!なんというはまり役なのでしょう!」


「まじかよ……」


めんどくさそうに色のついた棒を見つめている。



…翼っ!!!



「いいなーっ!」

「ずるーいっ!あたしも白雪姫やりたいーっ!」



立ち上がって前に出るその間だけでも、アイドル並の黄色い声を集めている。


見かけは…王子様だもんな。


黒板の前に来たときの翼は、いつもの勝気な笑みを浮かべていた。



「よろしくな、白雪姫」


ニヤリと笑って、差し出された手を握る。



「良かったわね!有栖さん!あなたみんなにうらやましがられてるわよ~」


「あぁ…はい」


うっとりとした女子実行委員の言葉に、マヌケな声が出てしまった。

< 95 / 393 >

この作品をシェア

pagetop