地方見聞録~人魚伝説譚~
「この先歩む道に、君はいてくれるだろうか」
「私の隣に、貴方はいてくれますか?」
顔を上げたのが早かったのは、私だ。それにつられるようにヨウも顔を上げる。静かだった。
答えなど、既に出ている。
―――重なる影。
一つは人間のもの。
一つは海に住むもの。
重なった影はしばらく離れることなく、その場を幻想的なものに変える――――。
"愛している"
言葉は二人に落ちていった――――。
―――――。