地方見聞録~人魚伝説譚~
ちょっぴり羨ましくも思った。でも、女である私から見てもリンはすごく良い子なのだ。自慢の友人である。
「リンはともかく、レト、お前はどうなんだ?」
そう言われて、困ってしまった。
実は言うと、リンには"許婚"のような存在の人がある。エノヒの孫にあたるセインがそうなのだが、一方の私はというととくにこれといってないのである。
興味がないわけではないが、こればかりはどうにもならない。だからリンに"枯れてる"などと言われるのだろう「私は」
困る私に「悪かった」と謝るエノヒ。私は黙っていた。
「本当に」
「なんじゃ?」
「この地域にも、人魚は姿を見せていたんでしょうか」