地方見聞録~人魚伝説譚~
「大丈夫。お似合いだから」
「もう!からかってるわね」
ばしゃりと海水を掬い上げ、こちらに向かってとばすリンに、負けじと私も海水をかけ返した。
ある程度遊んだ後、二人揃って砂浜に寝転がった。真上には青。いつ見ても飽きない空。
リンが戻っても、私は小屋のある浜辺にいた。
日が落ち、青空が闇色にかわり、星が輝くのを見た。
――――私のせいなんだ。
国が一つとなってから、しばらくの間は混乱していたのが記憶にある。父もまた神経を尖らせ、村の見回りに出ていたりした。
盗賊や人さらい。近隣の村まで出ていると聞いた村の者は皆で力を合わせていた。
リンがこの村にきて少しの頃。