地方見聞録~人魚伝説譚~
3章
岩場からどうにか小屋まで彼を運び、ありあわせの古い着物をとりあえず着せたまではなんとか出来た。
それまでにまた驚くこともあったのだが。
陸にあげると、彼の尾鰭が変化した。鱗などが徐々に消え、かわりにヒトの足となった。尾鰭がヒトの足に? 人魚の上半身は裸である。つまり――――。
そこまで考えて、私は顔に熱を感じた。
そしてなんとか見ないようにして、着物を着せたのである。
――――人魚って尾鰭が変化するものなのか?