地方見聞録~人魚伝説譚~








 ヨウを助け、彼から詳しい話を聞いた後日。

 食事を簡単に済ませて、こうして村の中を歩いているのだ。大人の姿が少ないのを見ると、まだ生存者探しに出ているのだろう。





「レト!」





 エノヒのいる家のすぐ近く、見慣れた友人がこちらを見た。もちろん、私の隣にいるヨウも。





「エノヒ様はいらっしゃる」

「え、ええ」





 一瞬ほうけていたリンだったが、腰に纏わり付いている子供の「誰?」という声にはっとする。

 リンも同じだろう。だが何も言わず「後でね」と言って子供をつれていく。
 後で話すことになるだろうが、今は。





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