地方見聞録~人魚伝説譚~
驚くのは無理もない。
エノヒは目をとじヨウの話を聞き、途中ではウルドが深く頷く。
今日子供の死体があがったということで、引き続き探しているという。
一通りヨウが話し終えた後、エノヒは静かに目をあけた。
「いくらでも居てくれて構わぬよ。それに」
「何でしょう」
「人さらい船が難破し……。この辺りでめ最近出ているのだ。お主、暫くは身をひそめたほうが良いかも知れぬ」
「ヨウ殿には申し訳ないが、正体も隠してもらいましょう」
このあたりで"人魚"は姿を見せなくなって久しい。しかも人さらいが出ているというのは、良い状況ではない。
ウルドの言葉にはヨウも「確かに」と頷く。