地方見聞録~人魚伝説譚~
ここ何日かでわかったこと、知ったことはたくさんあった。
ヨウを見てこの男誰だ? という質問にウルドが「生存者だ」と言ったきり、村の者は納得したようで、あれこれ親切にしてくれる。
それから子供たちはその"生存者"から様々な話を聞きたがっていた。
それもそうだ。
都心にはめったに行くことなどないのだから。
「ねえヨウ!」
「"お兄ちゃん"でしょう!」
「一緒に遊ぼうよ」
洗濯物の籠を抱え、戻ってきた私は思わず笑ってしまった。
子供たちに囲まれたヨウが困り顔。どうやらオルハの授業は終わったらしい。
あちこちにまとわりつく子供たちに色々と言われ、もみくちゃ状態なのだ。
「レト」