地方見聞録~人魚伝説譚~
ヨウは腕に力を込めると、岩場へと下半身をのせる。ちょうど腰掛けるような格好となった。
何だか直視出来なくて視線をそらす。
見たことがないとはいえ、じろじろと見るだなんて失礼だと思った「?」
隣から微かにもれた声。
見ると口元を手で覆ったヨウが肩を揺らしている。
「いじらしく見えて、な」
「なっ、なにも笑わなくたっていいじゃない」
どうやら隠すのもやめたらしく、笑みが向けられる。
からかわれている。
完全に。