地方見聞録～人魚伝説譚～

「あの村には人魚が残した秘宝があるっていう話だ」






　高く売れそうな子供と、人魚。


　それらを運ぶためにゼクトはあの村の近くを通ってこい、と命を出していた。別にそんなことをしなくても、とヘズは思っていた。
　その村、その地域には人魚は出ない。国が一つに統合された結果、そのあたりでは内戦のあった場から移動してきた者が多い。"キズモノ"が多いのだ。



　子供や女は、売るならばキズモノ以外で高く売る。人魚でもないしキズモノばかりの地域を通っても、とヘズは思っていたのだ。


　―――――そう、秘宝の話は噂で耳にしたことはある。

　ゼクトだけではなく、他の"同業者"も。