地方見聞録~人魚伝説譚~
1章
耳にはまだ、昔話が残っている。
子供達と分かれた後、私は海に来ていた。
海からさほど離れていない場所に小屋がある。その小屋は漁師を退いた老人の持ち物であったが、それを随分亡き父が貰ったものである。
村の長であるエノヒの話は、とても興味深いものばかりで好きだった。今日も村の子供達をつれて話しを聞きに行ったばかりである。
古い古い、昔話。