地方見聞録~人魚伝説譚~
―――私を探している、か。
「で、君は?さっき人間の女の子と一緒だったけど?」
見ていたのか。
にやにやと笑うハレンが気に入らない。が、己の友として聞いてくれ、と言えば力強く頷いてくれる。
私は今話せる限りのことを話した。人さらいのこと、救ってくれたレトのこと。そしてそこの村のことを。
ハレンは黙って耳を傾ける「なら」
「早いほうが良さそうだな。ただでさえ一部の連中は人間のことを心よく思っていない者も出てきている」
「やはりそうだろうな。他は?」
「何人かは近くまで来させている。といっても、この地域の外だけど」