地方見聞録~人魚伝説譚~
「"あの"人魚だよ。やっぱりこの村にいやがった」
「もしかして、あの……?」
村の女たちを相手しているとき、老女と話していた美丈夫がいた。もちろん顔には見覚えがあった。
なんたってそいつを捕まえていたのはヘズとブラギである。大損害であったが。
ヘズとしてははっきり言って後がない。いっそのことあの船ごと沈められれば良かったと思ったくらいだ。頭であるゼクトに切り捨てられてもおかしくなかったのだ。
―――なんとかしなくては。
占い云々でほうけているブラギはともかく。
"品定め"はある程度済んでいる「あ」