地方見聞録~人魚伝説譚~
腰に衝撃。
見ればヨウに慣れていた子の一人だった。どうしたの、と聞けば「レト」と顔を上げる。
「ヨウ、帰ってくるよね?」
少々、迷った。
――――それは突然だったのだ。
「私を探しに来た者と会った」
同じ故郷の古い友人がヨウを見つけたこと。
そして"同族"が動いていること――――。
彼は「人魚がいる地域まで行って来なくてはならない」と言った。急だった。"人さらい"の件もあり、人間を心よく思わないものも出てきている。
彼らが動く前に、話をつけること。