地方見聞録~人魚伝説譚~
仲間がヨウを探し、そして見つけたということはよかったと思う。だが一方、さみしくもあった。
私は人間で、ヨウは人魚なのだ。仲間のもとに戻るなら、それで良い。
なのに。
「ヨ、ヨウ!?」
彼はゆっくり目を閉じた。そして―――涙を流した。その涙が地面に落ちる前に結晶化し―――――玉となった。
突然のことで私は黙って見ていた。見とれてしまった。
呆然と見ている私をよそに、ヨウは涙を流しては玉を作る。そしてその玉を、私の手に持たせた。
「これに紐を通して首飾りにでもして欲しい。私がいない間、守ってくれるように」
「――――ヨウ」