地方見聞録~人魚伝説譚~
軽くどつかれ「セインに言われるなんて」と渡さは言い帰した。幼なじみである彼はリンよりも付き合いは長い。だから「不細工顔になる」といってからかうのも、セインなりの気遣いなのだ。
こうなる前に話をつけに行かなくてはと思っていたのなら、何故すぐに行かなかったのか。思わず口にだしていた。
「俺は"それ"が答えだと思うがな」
立ち上がったセインは、珠玉を見た。つられて私を見たが、どういうことなのか。
再びセインに視線を向けたが、彼はすでにこちらへ背を向けて歩いていた。
いい逃げか。
ずるい幼なじみを見送る。