地方見聞録~人魚伝説譚~
それに、とヘズは憎々しげに口を歪ませる。
――――あいつのせいで船は嵐にあって沈んだ。
ヘズとブラギの方にもまだ仲間はいたのだ。二人以外がどうなったかなんて予想はつく。
昔から人魚は嵐を呼ぶと、ブラギが話していた。人魚といっても様々だそうだが、妙に納得したのだ。
あの村付近は、天気が良いはずだったのだ。迷信などのたぐいは信じない方であったヘズもまた、そうなのかも知れないと思わせる。
なんとしててもつかまえて高く売りとばしてやる。
あの女が人魚の関係者なら、人魚の前で辱めてやってもいい。親しげにしているのは見ているのだ。