わたくし、政略結婚いたします!?
大好きな、お母さん。
もうすぐ、また会えるよね──…。
スッと、ナイフを引いた。
……その時だった。
「…っ!お前、何をしている!?」
バターンッ、という大きな音を立てて、部屋のドアが無遠慮に開かれた。
驚いて、思わずドアの方を見る。
光の先に、ドアの向こうに立っているのは、すらりと長身の、男のようだった。
「だ、れ…!?」
「お前…っ!」
つかつかと私の方に近づいてきたその男は、ナイフを持った私の手首を掴んだ。
力の、加減も無く。
「い、た…っ!」
掴まれたあまりの痛みに、私は思わず顔をしかめ呻いた。
カラン、と音を立てて私の手からナイフが滑り落ちる。