わたくし、政略結婚いたします!?


「でもチョコレートは苦手なんでしょう?」


「……まぁ、そうだが」


「苦手ならそう言ってくれればよかったのに……」


「せっかくお前が作ってくれたのにそんなこと言えるか」


「…………え?」



せっかく……、って。



「それ、どういう意味……」


「失礼します」



レナルドの返事が返ってくる前に、ノックに続いて部屋のドアが開けられて、エディが入ってきた。



「レナルド様、お客様です」


私に向かって軽く会釈をしてくれたエディに頭を下げる。


レナルドはエディの言葉に頷いて、椅子から立ち上がった。


「お前も部屋に戻れ」


「……わかったわ」


本当はまだ訊きたいことは山ほどあるけど、仕事を邪魔するわけにはいかない。


私は大人しくレナルドの言葉に従って自分の部屋に戻ることにした。

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