わたくし、政略結婚いたします!?
「でも、君と結婚すると聞いたときは、驚いたよ。よりによって、いちばん選んではいけない人を選んだのだからね」
「……どういう意味よ」
無意識のうちに、威嚇するような声が出た。
だけど、そんなことを構っていられる余裕なんかない。
さっきまでは疑いたくないとまで思っていたウィルに、今はこんなにも恐怖を感じる。
このまま彼の言葉を聞いたらいけない。
きっと傷付く。
……そんな予感がする。
だから、刺々(とげとげ)しい私の言葉は、声は、自分を守る精一杯の盾。
「本当に君は無知だね。だからこそ、レナルドの隣にいられるのだろうけど」
ウィルの微かにあがった口角が崩れることはなくて。
……だけど、私を見る綺麗な色の瞳は、どこまでも冷たい。
まるで貼り付けたような笑顔に、ようやくメグの気持ちが、メグの言葉の意味が、分かった気がした。