わたくし、政略結婚いたします!?

「でも、君と結婚すると聞いたときは、驚いたよ。よりによって、いちばん選んではいけない人を選んだのだからね」



「……どういう意味よ」



無意識のうちに、威嚇するような声が出た。


だけど、そんなことを構っていられる余裕なんかない。


さっきまでは疑いたくないとまで思っていたウィルに、今はこんなにも恐怖を感じる。



このまま彼の言葉を聞いたらいけない。



きっと傷付く。



……そんな予感がする。




だから、刺々(とげとげ)しい私の言葉は、声は、自分を守る精一杯の盾。



「本当に君は無知だね。だからこそ、レナルドの隣にいられるのだろうけど」




ウィルの微かにあがった口角が崩れることはなくて。


……だけど、私を見る綺麗な色の瞳は、どこまでも冷たい。


まるで貼り付けたような笑顔に、ようやくメグの気持ちが、メグの言葉の意味が、分かった気がした。

< 165 / 260 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop