わたくし、政略結婚いたします!?
「……選んではいけない人って、どういうことなの」
「気になるの?もうレナルドのことを好きになってしまったのかな」
「だったらなんだっていうの!!」
面白がるような口調にイライラして、私は思わず叫んでいた。
口に出してから、ハッとする。
……好きだなんて、誰にも言うつもりなかったのに……。
「……可哀相に。本当に知らないんだね」
「一体何を知らないっていうの!?」
心に積もる不安とイラつきを我慢できず、私は気付けば大声でそう言っていた。
そんな私にも、ウィルは動じることなどなくて。
「……自分の父親を死に追いやった親友の名前を」
そう言った、ウィルの口調も、表情も。
微塵も、崩れることはなかった。