わたくし、政略結婚いたします!?
しばしの沈黙。
それを破ったのは、私の方。
「……何を言っているのか分からないわ」
そして、そう言った私の声は、震えていた。
分からないふりをして。
本当は、ウィルの言葉が何を意味しているのかなんて、気付いたのに。
気付きたくなくて。
理解したくなくて。
────ドクドクと、脈打つ心臓の鼓動が速い。
そんな私の心情なんてお見通しなのか。
ウィルは面白がるように、笑った。
「ショックだよね。仕方ないよ。
……まさか、最愛の婚約者が自分の父親を殺した男の息子だなんてね」
にっこり浮かべたウィルの笑顔が憎い。
私は何も言えずにただウィルを睨みつけるしかなかった。