わたくし、政略結婚いたします!?
私は、キュッと唇を強く結んだ。
「……信じない」
ぽつりと、呟くような私の言葉に、ウィルは意外そうな顔をした。
「あなたの言葉なんて信じないわ」
「どうして?」
「……自分の胸に手を当ててよく考えてみることね」
私の婚約者はレナルド。
これから、いちばん信じなきゃいけないのは、彼だ。
こんな、簡単に嘘を吐いて楽しむような人のことなんて、信じない。
たとえ、レナルドの本当のお兄さんだったとしても。
「信じるかどうかはまかせるよ。
……だけど、このまま君がレナルドと結婚することを、天国の君のお父さんはどう思うだろうね」
「……ウィル、私、あなたが婚約者じゃなくて本当によかったわ」
私が皮肉をこめてそう言うと、ウィルは嘲笑を浮かべて椅子から立ち上がった。