わたくし、政略結婚いたします!?
「そう?それは残念だ。……僕は、爵位のためなら君と結婚するくらい耐えてみせるのに」
ウィルのセリフに、カッと頭に血がのぼる。
「お断りよ!!」
例え爵位のためでも。
見せかけの優しさしか持っていないウィルより、
不器用でも本物の優しさをくれるレナルドの方がいいに決まっている。
……爵位のためでもいい。
……傍にいられるなら。
ウィルは最後に「お茶をごちそうさま」と言い、笑みを残してサロンから出ていった。
……瞬間、堪えていた涙が溢れた。
頬を伝う水滴は、やがてぽたりと床にこぼれ落ちる。