わたくし、政略結婚いたします!?
あの頃は。
まさか、自分の未来がこんな風だなんて思ってもみなかった。
ずっと、優しいお父さんとお母さんと一緒で。
いつか、ふたりみたいにお互いに大好きな人と結婚して。
温かい家庭を築いていくのだと。
当たり前みたいに、自分にも幸せな未来が約束されているのだと。
……疑ったことなんて、なかった。
そんなの、何の根拠もないのにね。
なにひとつ、かなわなかったというのに。
はぁ、と無意識のうちに零れた溜息。
それと同時にガチャッとドアが開いて、私は顔をそちらに向けた。
「……レナルド」
「起きてたのか」