わたくし、政略結婚いたします!?
「……ウィル様、ですか」
「ああ」
「……あの方は一体何をお考えなのか、まったく分かりません」
「俺もだよ」
かつての兄。
昔から穏やかで、喧嘩なんてほとんどしたことがない。
ウィルは物に対する執着が極端に薄かったからだ。
自分が欲しがれば、ウィルはなんでもくれた。
それがたとえ大切にしていた玩具でも、大好きなお菓子でも。
養子に出されると聞いた時だって、ウィルよりも自分の方がショックをうけたのではないかと思うくらい、ウィルはただ淡々と父の言葉を受け入れていた。
……そんなウィルが、心の中で本当は何を想っているのか、自分には全くわからない。
「……昔は、幸せだったな」
自分も、ウィルも、そして、アリアも。