わたくし、政略結婚いたします!?
私は、キュッ、と丈の長いナイトガウンの裾を握り締めた。
あの後、いつもならゆったりするはずのお風呂なのに、今日はドキドキと鳴る心臓が気になって全然ゆっくりできなかった。
「レナルド、入るわよ……?」
意を決して、コンコン、とレナルドの寝室をノックする。
「……」
いつもならすぐに返事が返ってくるのになんの返答もないことに不安になったが、程無くしていきなり勢いよくドアが開いた。
「きゃっ!?」
「……入れ」
私からふいっと視線を逸らし、ぶっきらぼうに言葉を投げて、レナルドはくるりと背を向ける。
レナルドもお風呂あがりなのか、ほんのりシャンプーの残り香が漂う。
いつもさらさらの髪も、今は少しの水気を含んでなんだか重そうだ。
私は、言われた通り部屋に入り、静かにドアを閉めた。