わたくし、政略結婚いたします!?
「……お前、馬鹿だろ……」
ふたりきりになった部屋で、思わず呟く。
ベッドに横たわった彼女は、いつもより青い顔をしていた。
城では熱があるように見えたが、あれは本当に会場の熱気にあてられただけらしい。
化粧を落とした彼女の目の下には、はっきりと青白い隈が浮かんでいた。
……そもそも化粧なんかしていたから、いつもなら気付けるものも気付けなかった。
いつもは生き生きとした桜色の唇も、今は色が悪い。
そう思ったら、思わず彼女の顔に手を伸ばして。
抜けるほど白い頬に、触れていた。
だけどそんな自分がなんだか恥ずかしくなって、その頬に軽くかかっていた髪をどけてやっただけだと自分を納得させる。